| 「RESENSE勉強会」シーズン1の締めくくりとなる今回は、有機化学がご専門で、経済産業省において環境・農業関連の分野に長年携わってこられた辻先生の自己紹介とともに、すべての人の生活に深く関わる「食」というテーマに対し、参加者の方々がどのような思いでお越しになったのか、講義に先立ち全員にお話しいただく機会を設けました。食と健康にひとかたならぬ関心をお持ちなのはもちろんのこと、情報を伝えるメディアの世界に身を置く方、ビジネスとして食品を取り扱っている方、ご実家が農家の方、農家を守るために仕事をしている方・・・など、日本の食を語るには欠かせない、さまざまな立場や考えの方々が参加していることを、全員で共有した上で講義・議論にのぞむことができました。 |
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わが国の農業の現状と“誤解” ・・・農業総生産「1%」、従事者の70%が「60歳以上」 |
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食糧自給率の低さや食の安全に対する関心が高まって久しい現在の農業の現状について、データをもとにご説明をいただきました。健康に良い、と思われがちな「有機農法」の実施率が、日本でも海外でも1%以下にとどまっていること、その理由として、高齢の農業従事者が大半を占める中、また食糧不足の中で、価格や効率を重視する流れがあること、そしてもうひとつ、農薬を使った栽培が健康上「まったく問題がない」ために、ことさら有機農法を推進する意義がない、ということが挙げられました。悪者にされることの多い農薬ですが、「まったく問題がない」というイントロダクションは、参加者の多くにとって目新しいものでした。 |
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なぜ農薬が必要なのか。 ・・・農薬を使わなかった場合のリンゴの収穫量は、使った場合の「3%」 |
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現代農業の特徴として、そもそも特殊な環境で特殊な作り方をしているということが言えます。“自然”ではない環境で、美味しく“品種改良”した作物を、“集中的に”作るということは、すなわち虫や雑草にとっても美味しくて居心地がよい、ということであり、効率よく収穫していくためには、農薬は欠かせない、というご解説がされました。 |
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食品の安全を守る取り組み ・・・チェックのしくみ |
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現代の農業に欠かせないからこそ、農薬が日々慎重な実験によって、人間には効かないようにつくられていること、形状や散布方法などにも工夫がこらされ環境への配慮がなされていることなどを、わかりやすいデータとともにお話いただきました。
農薬と関わりの深い遺伝子組み換え作物の例も紹介され、作物における遺伝子操作が、本質的には品種改良と同じようなものであり、「今は」危険ではないと根拠を示すことが十分可能であるものの、「未来永劫」安全である、と言い切ることが難しいために、なんとなく嫌われる─という実態も教えていただきました。 |
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農薬や遺伝子操作の安全性 ・・・「永久に安全であるとは言えない=危険」!? |
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我が国の水際や国内において、食品の安全を守るためにどのような取り組みがなされているか。実験により算出された影響の出ない量=国際基準を守り、国産・輸入作物について、残留農薬などの調査を広く実施していること、その基準は、リスクを非常に大きく見積もった厳しいものであること、また行政のしくみや問題点など、その最前線を見つめてこられた先生ならではの視点でお話をいただきました。
また農業試験場と農協が、農薬の管理を行い工夫を続けているおかげで、消費者が美味しい米を食べられるエピソードや、水際調査で残留農薬が検出されることがほとんどないことが、食の輸入に携わる多くの方々の努力の賜物であるというエピソードなど、日本の食を支える方々をめぐる、普段消費者がなかなか聞けないお話も聞くことができました。 |
後半のディスカッションでは、多くの日本人が求めるようなレベルの“安全・安心”を証明することがいかに難しいか、という事実が、わざわざ不安になる情報ばかりを集めたり流したりしてしまうことにつながっているのでは?という示唆や、基準の更新頻度、また収穫後(ポストハーベスト)、消費者の手に渡るまでのプロセスで使われる添加物の安全性、こどもへの影響、「食と政治」の関わりなどについて、多くの質問や意見が交わされ、先生もすべての投げかけについて真正面からお答えくださいました。
高齢化する農家の生活を守りながら、消費者が安心して食べられるための努力を続けていくという農協からの参加者のお言葉で締めくくられた今回の会、まっすぐで真剣な皆様の視線や言葉が印象的でした。
2008年9月より8回にわたりお送りしてきましたSALON RESENSE、【RESENSE】勉強会は今回をもちましてしばしの充電期間に入らせていただきます。これまでご参加、ご協力いただいた皆さまに深く感謝申し上げます。
パワーアップして再スタートいたしますので、どうぞご期待下さい。 |